業務改善において、ほとんどの方が
真っ先に取り組もうとするのが“業務の可視化”です。
確かに、作業内容やワークフローを明確にすることによって
業務効率化・時間短縮の糸口を見つけることができます。
しかし、実際に業務を可視化するにあたって
「可視化の具体的な手順がわからない…」
「業務量が多すぎて、どれから手をつけていいのか…」
とお困りの方も多いでしょう。
今回は、可視化の手段のひとつである「業務棚卸」について
解説するとともに、その手順をご紹介いたします。
◆業務棚卸の“定義”とは?◆
棚卸とは、もともと
決算や整理のために在庫商品などの種類・数量を調査し、
在庫の金額がどれだけあるか計算するという意味です。
そこから派生して、業務改善における棚卸とは、
「業務の種類や内容、作業時間、作業を担当しているメンバー
及び業務を行う上で利活用しているシステム全般を可視化する」
ことを指します。
可視化にあたり、ワークフローの書き出しから
始める方が多いですが、
まずは業務の仕分けから着手するのが望ましいでしょう。
ただし、工程の中でのスタートとゴールは
はっきり定義した上での着手が前提です。
ex.請求書発送の場合
スタート地点が売上計上
ゴール地点がお客様先へ請求書到着
◆業務棚卸の“方法”とは?◆
おすすめの方法は、業務体系をあらわす表を作成することです。
体系表をベースに棚卸を進めていくことで、
業務を仕分けしやすくなります。
まず、体系表には「大」から「小」まで、分類項目を設けましょう。
事務職を例にあげると、以下のようになります。
<大分類>
1.請求・支払い業務
<中分類>
1-1.請求業務
1-2.支払い業務
<小分類>
1-1-1.請求データダウンロード
1-1-2.請求データの登録
1-1-3.請求書発行
1-1-4.入金データ反映
……
…
1-2-1.当月支払いリスト作成
1-2-2.支払い承認
1-2-3.各種支払い
……
…
このように、一つひとつの業務を体系化することによって
簡単に棚卸が行えます。
ポイントは、
メニューの業務を具体的に誰が行えるか(実務可能か)
ということを付け加えることです。
そこで改めて属人業務が浮き彫りになり、
さらには誰がどれ位の業務をこなしているかの
モノサシを充てることができるようになります。
◆棚卸した業務を、改善する◆
棚卸が終わったら、いよいよ改善策を講じます。
現状のワークフローから無駄を発見し、
最良の進め方を新たに設定します。
大分類のメニューを高い精度で固めた上で
対象となるのは「中分類」の業務。
正式な手順が決まっていないものや、
対応時間が短いもの、頻度の低いものに関しては対象外とし、
対応時間が長いもの、業務量の多いものを選出してください。
すべての業務を対象とすると、かえって改善効率が
悪くなってしまうため、優先順位から抽出した
上位2割程度を改善対象にしましょう。
また、いきなりワークフローの改善に取り組むのではなく、
事前に各業務の対応時間を計ってください。
従来の対応時間をあらかじめ把握しておかないと、
改善によって成果が出たのか不明瞭になるからです。
さまざまな種類がある測定方法の中でも、
「実測法」がシンプルでおすすめです。
この方法では、あらかじめ業務対応時間の平均を出し、
改善後にその平均値を下回ったかどうかを評定指標とします。
なお、業務対応にかかる平均時間を算出する際は、
業務の熟練者を選定するようにしましょう。
初心者を対象としてしまうと、不慣れなため
必要以上に時間を費やしてしまうおそれがあります。
さらに、観測者がいることで、
作業者がいつも以上の力を発揮しようとする
可能性があることを考慮し、結果を適宜補正することも
大切です。
◆業務棚卸で、効果的な改革を◆
業務対応時間の観測が終わったら、
随時施策を実行して業務改善を図りましょう。
その際は「一回やって終わり」ではなく、
結果を分析し、さらなる改善案を考えるという
一連の流れを意識することが重要です。
継続的に取り組むことで、業務改善のノウハウも
身についていくでしょう。
「頭では理解できても、なかなか実行に移せない…」
という方は、ぜひ弊社の業務効率改善コンサルティングを
ご利用ください。
今回ご紹介した体系表をもとに問題点を抽出し、
的確な業務棚卸と改善策のご提案を行います。