アンケート調査の実例を紹介|サービス向上に役立てるためには

顧客満足度の改善や新製品・新サービスの開発などにおいては、ユーザーのリアルな声を把握する必要があります。
そのための具体的な手法として用いられることの多いのがアンケート調査です。
一口にアンケート調査といってもさまざまな手法があり、目的に応じて使い分ける必要があります。
本記事では、アンケート調査を行うにあたって参考にしていただきたい実例や、サービス向上に役立てるためのポイントもあわせてご紹介しましょう。
Contents
アンケート調査の種類とそれぞれの例

一口にアンケート調査といってもさまざまな手法があり、特徴も異なります。まずは代表的なアンケート調査の種類を解説しましょう。
インターネット調査(Web調査)
インターネット調査はWeb調査ともよばれ、Webサイトに登録している会員に対してアンケート調査依頼のメールを送付し、アンケート用サイトに誘導し設問に回答してもらう調査方法です。
Web上で完結することから低コストで実施でき、多くのユーザーからの回答を短時間で収集できることが特徴です。
会場調査(CLT)
会場調査(CLT)とは、回答者をひとつの会場に集めて実施するアンケートの方法です。
新製品や新サービスを実際に使ってみての感想や、アンケートへの回答に応じて質問を深く掘り下げたい場合などに有効な調査方法といえます。
また、物理的に限られたスペースでアンケートを実施するため、機密情報が外部に漏れるリスクを最小限に抑えられる点も会場調査の強みです。
ホームユーステスト(CLT)
ホームユーステスト(CLT)とは、開発中の試作品などをアンケート回答者の自宅へ送付し、日常生活で使用してもらったうえでアンケートに答えてもらう方法です。
スキンケア用品やサプリメント、ダイエット食品など、長期間の使用が前提となる製品のアンケート調査に多く用いられます。
また、複数の試作品や製品を使用してもらい、比較結果を得たい場合にも効果的な調査方法といえるでしょう。
インタビュー調査
インタビュー調査はその名の通り、対象者に直接質問を投げかけ回答を得るアンケート調査の方法です。
対面で直接質問することにより、深く突っ込んだ内容もヒアリングできるほか、その人の仕草や声のトーン、表情といった定性的な内容も把握しやすくなります。
従来のインタビュー調査といえばオフラインで行う方法が一般的でしたが、近年ではインターネットの普及に伴いオンラインでのインタビュー調査も広く活用されています。
郵送調査
郵送調査とは、対象者の自宅やオフィスにアンケート用紙を郵送し、回答を記入したものを返送してもらう方法です。
特定のエリアや商圏に居住する対象者に絞り込んでアンケートを集められるほか、最小限のコスト・時間で多くの調査結果を得られるメリットがあります。
関連記事:アンケートで収集した個人情報を安全に運用するには?外部委託で課題を解決
大手企業が実施したアンケート調査の具体的な事例

企業では新商品・新サービスの開発や効果的な販売戦略に活かすために、さまざまなアンケート調査が行われています。
大手企業が行っているアンケート調査の事例をいくつかご紹介しましょう。
江崎グリコ
少子高齢化や共働き世帯の増加など、社会構造が大きく変化している中で食品メーカーが生き残っていくためには、ライフスタイルの変化に合わせた新商品の開発が重要な鍵を握ります。
そこで江崎グリコでは、消費者のニーズを迅速にキャッチアップするためにインタビュー形式のアンケート調査を行ったり、自社商品に関する反響を調査するためにSNSなどに投稿された口コミの分析も行っています。
サントリー
飲料メーカー大手のサントリーでは、消費者の嗜好を詳しく分析するためにさまざまなインターネット調査を実施しています。
アンケートの設問が増えるほど回答は集まりにくくなるため、さまざまなクーポンや賞品を用意しキャンペーンという形で行うことでこの問題を解決しました。
サッポロビール
同じく飲料メーカー大手のサッポロビールでは、消費者の嗜好はもちろんのこと、お酒と健康に関する意識を調査するために定期的にアンケート調査を実施しています。
コストの削減と多くの回答を得るためにインターネット調査を主体としており、抽選で自社製品をプレゼントするなどのキャンペーンとして展開しています。
ロッテ
チョコレートなどのお菓子の製造を手掛けるロッテでは、年間を通してさまざまなイベントに関連したアンケート調査を実施しています。
チョコレートを贈る機会の多いバレンタインデーはもちろん、ホワイトデーや受験、父の日・母の日に関連した意識調査も実施し消費者のニーズを的確に把握しています。
カゴメ
トマトジュースや野菜ジュース、調味料などの製造を手掛けるカゴメでは、アンケートを活用し新製品の販売促進に役立てています。
新商品の特徴や魅力をピックアップし、その中から魅力的だと感じる項目を選択すると商品購入ページに遷移するという仕組みです。
設問数は非常に少なく数十秒程度で回答でき、選択項目にかかわらず目的の商品の訴求につなげています。
メルカリ
国内最大のフリマアプリを運営するメルカリでは、多くのユーザーにとって使いやすいサービスにするためにインタビュー調査を実施しています。
ユーザーと1対1形式でのインタビューを実施し、アプリの使いづらい点や改善すべきポイントの意見を出してもらい、ユーザーインターフェース(UX)やシステムそのものの改良・差別化に役立てています。
クックパッド
国内最大級のレシピサイトを運営しているクックパッドでは、アプリを利用している会員に対してインタビュー調査を行っています。
ユーザーの生の声を得ることに強いこだわりを持っており、インタビューの内容はあえて要約することなく一言一句をテキスト化しています。
これにより、ユーザーが求める新たなニーズのヒントを得られることも多いといいます。
ダイソン
サイクロン掃除機の先駆者として知られるダイソンは、ユーザーからの生の声を拾い上げることで革新的な製品の開発に成功しています。
調査方法はインターネット調査が中心で、掃除の頻度や清掃の方法、面倒に感じるポイントなどをヒアリングし、現代のライフスタイルに合った製品開発のヒントに役立てています。
アンケート調査を成功させる上で重要なこと

アンケート調査の正しいプロセスや方法を理解しておかないと、集計した回答の有効性や信頼性が不十分であったり、回答そのものが集まらないといった問題が生じることがあります。
このような事態を避けるために、押さえておきたい重要なポイントをご紹介します。
目的を明確にする
アンケート調査を成功させるためには、大前提として目的を明確にすることが重要です。
たとえば、新製品・新サービスの開発にあたっては消費者のニーズを把握することが求められるでしょう。一方で、既存製品の売上を伸ばすことが目的であれば、消費者に刺さる販売戦略や施策を構築する必要があります。
調査の目的が曖昧だと、的外れな質問内容になり得られるデータの有効性が低下します。
具体的な目的を設定することで、どのような情報を収集するべきかが明確になるでしょう。
簡潔で明瞭な質問を作成する
アンケートの質問は誰が読んでも内容を把握できるよう、簡潔で明瞭な表現を心掛けることが大切です。
複雑な表現や曖昧な質問は回答者の混乱を招き、正確なデータ収集を妨げる可能性があるほか、回答の途中で離脱されるおそれもあります。
質問は一つのテーマに絞り、短い文章で明確に伝えることを意識しましょう。また、専門用語や難解な言葉を避け、誰でも理解しやすい言葉遣いを心掛けることが重要です。
調査の目的に合致したターゲットを対象とする
アンケート調査では適切なターゲット選定が欠かせません。
たとえば、自動車メーカーが新型のミニバンを開発する場合には、メインのターゲットであるファミリー層からの意見を集約しなければなりません。
ターゲット選定を誤ると、アンケート調査の結果が実際のニーズを反映せず意思決定に役立たないデータとなる恐れがあるのです。
目的に合致したターゲットを選定することで、収集するデータの質が向上し、調査結果の信頼性が高まります。
質問数を必要最低限に抑える
アンケートの質問数が多すぎると、回答者は負担を感じ途中で放棄されるリスクがあるため、必要最低限に抑えましょう。
質問項目をピックアップしたら、重複する内容やムダな質問が含まれていないかを精査し、重要な情報を得るために必要な質問だけを厳選することが大切です。
また、質問を限定することでデータの集計や分析もしやすくなり、迅速に結果を活用できるようになります。
データを分析してサービスに反映する
アンケート調査は回答を集計して終わりではなく、データを適切に分析し得られた洞察を製品開発や戦略に反映させることが重要です。
たとえば、多くのユーザーから「アプリの挙動が不安定で遅い」といった不満点が挙げられた場合には、その原因を特定し具体的な改善策を迅速に講じることで顧客満足度の向上が期待できます。
アンケートの分析結果を効果的に活用する方法とポイント

アンケート調査で得られた多くの回答を効果的に活用するために、どういった手法があるのか、活用のポイントもあわせてご紹介します。
データ集計
アンケート調査によって収集した回答を整理し、全体像を把握するために欠かせないのがデータ集計です。
一口に集計といってもさまざまな手法があり、アンケート調査の目的や手法によって使い分けることが大切です。
単純集計
単純集計とは、各質問に対する回答数を単純にカウントする集計方法です。
調査対象の全体的な傾向を把握するのに適しています。
クロス集計
クロス集計とは、複数の質問の回答や属性などを組み合わせて集計する方法です。
たとえば、男性・女性別や年代ごとの傾向・関連性などを明らかにしたい場合に役立ちます。
自由記述集計
自由記述集計とは、自由記述の回答を定量的に分類・整理するための方法です。
記載されたテキストから頻出キーワードやテーマを分類することで、具体的な意見や感情を把握できます。
データ分析
アンケート調査の回答を集計できたら、その結果をもとにどのような傾向が見られるのかを分析していきます。
データ分析にもさまざまな方法がありますが、特に多く用いられるのが以下の4つです。
クラスター分析
クラスター分析とは、集計したデータをグループに分けて傾向を分析する方法です。
たとえば、自動車に関する不満や改善点をテーマにしたアンケートの場合、デザインや内装、エンジン、足回りなどの項目にグループ分けをすることで、改良すべきポイントが把握しやすくなります。
アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、データ内における項目の関連性を分析する手法です。
アソシエーション分析を活用すれば、たとえば「商品Aを購入した顧客は、商品Bも選択肢として検討している」といった傾向を発見しやすくなり、クロスセルやアップセルにつなげられます。
主成分分析
主成分分析とは、多次元データを少数の主成分に変換しデータ構造を簡潔化する分析手法です。
アンケート結果のばらつきを簡潔にし、関係性をグラフ化する際に主成分分析が活用されます。
決定木分析
決定木分析はデシジョンツリーともよばれ、データをツリー構造で視覚化し、特定の結果に至るまでの判断基準を明らかにする手法です。
機械学習の予測を行うために生まれた手法ですが、アンケート調査の分析では顧客の購買行動や離脱率の予測などに活用されることが多くあります。
具体的な改善のアクションプランを策定
データ分析によって得られた結果をもとに、課題を改善するためのアクションプランを策定します。
たとえば、アプリやシステムの使いにくさが顧客満足度の低下要因になっている場合にはシステムの改修に取り組んだり、製品やサービスの魅力が十分伝わっていないことが売上の低下を招いている場合にはマーケティング戦略の見直しなども必要になるでしょう。
アクションプランを策定する際には、具体的で実行可能なものにすることが重要です。
定期的にPDCAを回す
策定したアクションプランを実行したからといって、必ずしも改善につながるとは限りません。
そのため、アクションプランの実施後は定期的にPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回し、効果測定を行いながら継続的な改善を図っていくことが求められます。
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アンケート調査では膨大なデータが集まるため、それらを集計するだけでも大きな負担を強いられます。
特に人手不足が深刻化する昨今では、アンケート調査を行う余裕がなかったり、データ分析のノウハウが足りず効果的な改善策が見いだせない企業も多いでしょう。
このようなお悩みを抱えている場合には、ぜひ一度プロセス・マネジメントへご相談ください。
プロセス・マネジメントではアンケート入力・集計サービスを提供しており、データ集計はもちろんのことデータ分析についても専門的な見地からサポートをさせていただきます。
また、個人情報保護士の資格を持った担当者が多く在籍しているほか、会社としてもPマークを取得しているため、個人情報や機密情報が含まれるアンケート集計・分析も安心してご依頼いただけます。
まとめ
ユーザーのリアルな声を把握したり、自社が潜在的に抱える課題を可視化するためにアンケート調査は有効な選択肢といえます。
ただし、アンケート調査を自社の経営に活かしていくためには高度なデータ分析が不可欠であり、それをもとに具体的なアクションプランの策定・実行に役立てることができます。
「アンケート調査を行いたいものの、十分なリソースが確保できない」、あるいは「データ分析の知見が不足している」とお悩みの企業様は、まずはプロセス・マネジメントへご相談ください。